OMDSとマイクロフォーサーズ

OLYMPUS OM-D E-M10 + Helios 40-2 85mm F1.5

OMDSはマイクロフォーサーズを突き詰めればいいと思う

OMDSの常務取締役COO・片岡摂哉氏と、OM SYSTEM ビジネスユニット長・城田英二氏の対談をYoutubeで観た。なかなか興味深かった。

持ち歩けるカメラであることの価値や、過酷な環境でも撮影できた写真家の体験談など、OMDSがマイクロフォーサーズで実現したいことは明確だなぁと。

過去にはフルサイズを検討する以前に「おまえはマイクロフォーサーズをやりきったのか!」と言われた話まで出てくる。

OMDSがフルサイズに参入する気は昔も今もなさそうだなぁ。笑

個人的には、それでいいと思うけど。

ただ、フルサイズとマイクロフォーサーズには、どうしたって埋められない物理的な差がある。

被写界深度の浅さもそうだし、NoctiluxやPlanarといった銘レンズの魅力を、その本来の画角で味わい尽くすなら、やっぱりフルサイズ。

一方では、GFXのようなラージフォーマットにフルサイズ用レンズを取り付けて、無理やりイメージサークルの外側まで楽しんでいる人たちもいる。レンズ設計者が本来「ここから先は画質を保証しません」としている領域に、わざわざ踏み込んで楽しんでいる。強烈な周辺減光、口径食、非点収差、コマ収差、像面湾曲、場合によってはケラレ。光学性能の欠点として扱われるものが、写真表現の個性となる事で面白い使い方となり楽しまれているわけだ。

現代のレンズは収差を補正し、画面全体で均質な描写を追求する方向に進んでいるけど、必ずしもそれがすべての写真愛好家にとっての正解ではないってのが難しい所。

結局、マイクロフォーサーズとフルサイズでは、求められているものが違う。

小型軽量。過酷な環境でも持ち出せる撮影機材を追求するOMDSの方向性は十分理解できるし、応援したい。

ちなみに私自身、マイクロが付かない頃のフォーサーズ、OLYMPUS E-1やE-300、さらにはマイクロフォーサーズ初期のE-P1、E-P2あたりも当時使っていたし、フォーサーズという規格そのものに否定的なわけではない。愛用していた時代もあったのだ。

今でもOM-3(昭和59年発売の方じゃないよw)あたりは見た目のかっこよさだけで使ってみたい気持ちもある、、笑。

さらに言えば米谷さん著書の『一眼レフ戦争とOMの挑戦』って本も20年ぐらい前に読んだし、探してみたら今でも本棚の隅にあったぞ。そんなわけで一時期はオリンパスのカメラが好きって感じだったなぁと。しみじみ。

ただ、現在の私は収差も含めてレンズの個性を楽しみたい方に偏ってる。

特に古いレンジファインダー用の大口径レンズなんかは、当時の光学技術やガラス素材、鏡筒の寸法といった様々な制約の中で、無理をしてでも大口径を実現しようとした設計者の苦労が、そのまま描写の個性になっているところが面白いんだよね。

Noctiluxなんてまさにその典型で、F1.0という極端に浅い被写界深度に対するレンジファインダーの測距精度の限界、長く太い鏡筒によるファインダー視野の遮蔽、さらには最短撮影距離1mという制約まである。光学的な収差だけでなく、当時の技術的な制約の中で生まれた、あの独特な描写がよき。「無理した設計から生まれる描写の個性」がたまらんわけで。

光学的な欠点ですら魅力に変わる写真の世界が好きです。

そんなわけで、話の逸れた無理なまとめでおしまい。。。


フルサイズ機は作らない?OM SYSTEMが描く未来とは。(OM SYSTEM事業紹介:後編)

富士フイルムのROIC経営と品不足

FUJIFILM GFX 50S II + NOKTON 50mm F1 Aspherical VM
FUJIFILM GFX 50S II + NOKTON 50mm F1 Aspherical VM

昨今、FUJIFILMの新製品カメラは、なぜ発売直後から品薄になり、ちょろっと在庫が復活したかと思えば、こんどは販売終了~……という道を辿るのか。

もちろん、すべての機種がそうではない。ただ、ここ数年のXシリーズを見ていると、欲しいと思ったときには買えない、そんな状況が珍しくなくなっているように感じる。

象徴的なのがX100Vあたりで2022年に供給不足で受注を停止し、その後も十分に供給が回復しないまま、2024年には後継機X100VIへの切り替えで終了~って流れだったかな。X-E4も2021年に発売し1年半程度でディスコンだったし、更にいうとGFX50S IIも2021年の発売から2年程度でディスコン。

イメージセンサーや画像処理プロセッサーの調達制約、主力モデルへのリソースの集中、生産能力の限界など、供給が追いつかない等もありそうだが、、そもそもCanonやSONYはイメージセンサーを自社開発・製造できるうえ、生産規模も大きい。特にSONYは世界中のスマートフォンメーカーやカメラメーカーにイメージセンサーを供給する巨大な半導体メーカーでもり、言わずもがなセンサーの巨人だ。半導体業界でいうTSMCのような立ち位置に近いけど、SONYはセンサー自体の設計も手掛けている点が違う。CanonもCMOSセンサーを自社開発・製造しているが、こちらは自社カメラ向けが中心で、一部を外販する事業構造になっている。その一方で、FUJIFILMは外部調達に依存しているため、限られた生産資源をどこへ振り向けるかという判断がより重要になるのかも。ただ、それだけではなく、企業としての投資規律も関係してそうで、、

最近『週刊東洋経済』の富士フイルムHD特集を読んでてそう感じた。

富士フイルムHDのCFOの樋口氏がROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)を軸とした経営について語っていた。富士フイルムHDは、このROICを重視し、どの事業に資本を配分、どの事業を縮小・再編するかを判断しているんだけど、特に興味深いのは、累計1兆円を超える資金を注入し投資回収が遅れているバイオCDMOには将来性を見込んで投資継続なのに、黒字のBI事業は切り離しを検討している点。目先の利益だけではなく、将来的な資本効率を見据えたポートフォリオになっているのが読める。 (ROICについて気になる方はググってちょ)

で、カメクラ勢からすると気になるのはカメラを含むイメージング事業はどうなのかって話なんだけど、実はイメージング事業のROICは50%を超えており、グループ内でも他のセグメントに比べて突出して高いんだよね。。。ただし、これはチェキや写真関連製品などを含むセグメント全体の数字であり、XシリーズやGFXシリーズ単独のROICや利益率まではわからん。さらに決算資料を眺めていると、富士フイルムHDはイメージング事業を「キャッシュカウ」と位置づけているのがわかる。安定してキャッシュを生み出す事業ということで、FUJIFILMのカメラ好きとしては、ひとまず安心できる材料ではある笑。。一方で、積極的な成長投資の対象はヘルスケアやエレクトロニクス。もちろんイメージングへの投資も行っていて、実際にinstaxフィルムの生産設備は増強している。ただ、需要に合わせてカメラの生産設備を増強したところで、その需要が長続きしなければ設備が余剰となり、ROICを悪化させる可能性もあるわけで。。このあたり、XシリーズやGFXシリーズの生産能力への投資判断にも関係しているのかもしれない。

しかし、品薄は販売機会の損失にもつながるわけだし、X-E4のように後継機まで長い空白期間が生まれるケースもあり、FUJIFILMのブランドやカメラ全体の魅力を考えると、決してプラスとは言えないんじゃないかなぁと。

生産設備への投資を抑えて高いROICを維持できたとしても、その裏で将来の顧客や販売機会を失っているとすれば、必ずしも企業価値の最大化につながるとは限らないわけで。

個別の生産計画に投資規律がどこまで影響しているのかもわからんよと。

ただ、グループ全体でこれほど資本効率を重視している以上、XシリーズやGFXシリーズの生産能力に対する投資判断にも、少なからず影響してるんじゃないかなぁと思うわけで。

カメラの品薄ってのも、企業全体の資本配分という視点で見ると、また違った景色が見えるなぁってお話でした。 おしまい。

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以下は参考までに。決算資料(2027年3月期 第1四半期)から抜粋したイメージング事業の売上

※以下から、半導体価格高騰の影響を金額ベースで最も強く受けているのがイメージング事業

bokeh…FE50mm F1.4 GM


SONY α7 V + FE50mm F1.4 GM
SONY α7 V + FE50mm F1.4 GM

口径食の影響も残しつつ・・・

収差を抑えるというより、もはや操ってる感じ。

理想的な描写を追及する思想にも味はあるんだけれども

(好みの問題ですが)

FEのGMは優等生すぎるボケ味で物足りないってのが

半年使った印象。